新改正外為法のポイント

1998年の新改正外為法のポイントをまとめておきましょう。以前の外為法との大きな違いは、◆事前の許可や届出制の廃止、◆為銀主義の廃止です。

1998年の外為法改正によって、外貨取引を行う際の許可や届出が原則不要となり、外国為替公認銀行を通さずに外為業務や資本取引が行えるようになりました。具体的には以下のようになっています。

(1.)海外預金の自由化
外為法改正前は許可が必要でしたが、外為法改正後は自由に預金口座を開設できるようになりました。個人輸入の決済などを海外の預金口座から直接ドルで支払えるため、為替変動リスクを回避することが出来ます。

(2.)対外貸借取引の自由化
外為法改正前は事前に届出が必要でしたが、外為法改正後は事前の手続きがなくなり、迅速な資金取引が行えるようになりました。

(3.)外貨建て取引の自由化
外為法改正前は許可が必要でしたが、外為法改正後は自由に外貨建て取引ができるようになりました。国内企業間の外貨建て決済、銀行以外での為替両替や外貨金融商品の購入、また外貨を使っての買い物も可能となりました。

(4.)対外証券取引の自由化
外為法改正前は事前に届出が必要でしたが、外為法改正後は自由に海外の証券取引ができるようになりました。一般投資家が直接海外の銀行や証券会社から債券や株式を購入できるようになりました。

(5.)ネッティング(相殺)決済の自由化
外為法改正前は許可制でしたが、改正後は自由に外貨建て取引のネッティング(相殺)決済を行えるようになりました。

外為法改正の経緯

『改正外為法』の歴史について簡単にまとめておきましょう。

[外為法制定と改正の歴史]
(1.)外国為替及び外国貿易管理法(対外取引を原則禁止)……1949年
(2.)改正外為法(対外取引を原則自由)……1980年
(3.)新改正外為法(対外取引を完全自由)……1998年

(1.)外為法とは「外国為替及び外国貿易管理法」のことで、国際収支の均衡と通貨の安定を図ることを目的に1949年に施行された法律です。1949年の外為法では、外国との経済取引(外貨の両替)を原則として禁止しており、許認可を受けた場合のみ例外として外国との経済取引が認められていました。すべての外為取引は、大蔵大臣が認可した外国為替公認銀行を通じて行わなければなりませんでした。対外取引を原則禁止とするこの体制は、戦後の脆弱な日本経済の保護を目的としていましたが、その後の高度成長によって急速な発展を遂げたため、海外と競争を行う際の妨げになりはじめました。

(2.)そうした背景のもと1980年に全面的な外為法改正が行われ、対外取引を原則自由としましたが、外為取引に関しては外国為替公認銀行を通じて行う制度は残されました。その間、欧米諸国では、対外取引の自由化が急速に推し進められ、不自由な東京市場との取引シェアは急速に低下していきました。

(3.)日本の金融市場が空洞化してしまうという危機感の高まり、外為法が抜本的に見直されることになり、1998年4月に新改正外為法が施行されました。新改正外為法では個人や企業が自由に対外取引を行えるように(原則自由から完全自由)変更され、正式名称も管理という文字を取り除いて「外国為替及び外国貿易法」となったのです。

経済